発想

昨日の続きです。

結局、昨日のご相談は、やはり通常通りの相続の手続を進めていくしかないとご説明して現在進行中の状態です。
解決するにしても時間がかかりそうです。

ところで、私はなぜこの方が「簡単な手続がないか」という発想になったかが少し不思議でした。
しかし、「古い抵当権を所有者単独で抹消する手続を取ったことがある。それと似たような手続があるのではと思って。」と聞いたとき、思わずなるほど、と思いました。

担保権(抵当権や根抵当権がほとんど)は、通常は不動産の所有者とお金を貸した銀行などの担保権者が共同で抹消します。
しかし、たまに担保設定後長期間が経過し、債権がまだあるのかそれともすでに弁済して消えているのかわからないまま不動産に古い担保権が残ってしまっていることがあります。
そういう時に、債権や利息等をすべて供託して担保権者が行方不明であることを証明すれば、裁判所で判決を取らなくても、所有者が単独で担保を抹消することができる超例外なやり方があるのです。

確かにこの手続を知っていれば、所有者が所在不明な場合でも何らかの特殊手続がありそう、と考えても不思議ではないかもしれません。
基本的に債権(=金銭)が保証されれば残さなくても問題ない担保権と、失えばお金だけの問題ではない所有権という違いがあるので、所有権の場合はこういった例外手続がありません。
ですが、登記に携わらない方からすれば、どちらも権利を放棄したも同然のような状態なんだから同じ発想になっても当然かも、と目から鱗の思いでした。
毎日やっていると、疑問も挟まず当たり前のように考えがちな登記手続でしたが、この質問をいただいたおかげでふと新鮮さを感じた出来事でした。

ところで、今回のような、相続がされずに先祖の名前が残っている土地は、あちこちに今でも結構たくさんあります。
それも一代ではなく何代分もの相続を経ていることも多く、もはや相続人同士の面識がなくて話し合いができなかったり、遺産分割協議がまとまらず、手続を諦めた方も実際にいます。
ただ、諦めたところで、この土地は今後もずーっと宙ぶらりんのまま残ってしまうことになり、誰の得にもならず何の解決もしません。
難しいことではあると思いますが、こういう土地をもっと簡単に登記手続できるよう、法改正や対策を考えてもらえたらな、と切に思います。

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