不平等な株主

梅雨ですが、あまり雨が続く感じはしない今日この頃です。
日曜日の朝は長野で地震がありましたね。
この日は仕事がありましたので、家で支度をしていたら揺れを感じたのでどきどきしました。
幸い大きな被害はなかったようですが、天災はどれだけ気を付けていても防ぎきれるものではないので、揺れの大きかったところはさぞ怖かったことと思います。
時々起きる地震を感じると、この日本に住んでいる以上、震災は全然他人ごとではないなといつも実感します。

岐阜市の防災本



さて、この間株式会社の設立登記を申請しました。
特に際立って珍しいこともない内容の会社でした。ある一点を除いて。

株主には色々な権利があります。
会社は、普通株式のほかに様々な種類の株を発行することができ、その種類ごとに異なる内容を設定することができます。
例えば、配当を多くもらえる株式だったり、株主総会での議決権がない株式だったり、特定の議決について拒否権が認められるような株式(いわゆる黄金株もこれの一種)も可能です。
この内容と数に応じて、株主同士の取り扱いは平等でなければなりません。これが原則です。

…が、株式を会社の承認なく自由に譲渡ができない会社(非公開会社といいます)は、ちょっと特別です。
①配当を受ける権利、②残余財産の分配を受ける権利(会社解散後に残った財産を分けてもらえる権利)、③株主総会の議決権に限って、定款で定めれば株主ごとに別の取り扱いをすることができます。
つまり、同じ種類の株式を同じ数だけ持っている株主Aと株主Bとで、配当額に差をつけたり、片方だけ議決権を倍にすること等が可能なのです。
もちろんこれは閉鎖的な非公開会社だけができる例外規定であり、上場しているような企業はできません。

今回設立した会社は、設立時の株主が2人いる会社だったのですが、1人が偏って多く出資するものの、その株主は経営に携わらないため、株主総会の議決は代表取締役兼株主となるもう1人の意思がより反映できるようにしたいというご希望でした。
議決権を集中させたい株主に対して、先ほどの拒否権付株式を発行するか、それとも議決権について株主ごとに異なる取り扱いを定めるか、どちらでも可能でした。
検討の結果、結局定款で株主ごとに議決権数に偏りを設けることにしました。
と言うのも、拒否権付のような種類株式を発行する場合は、定款のみならず登記もしなければならないのです。
会社において、取引の現場ではまず会社の実在を証明する登記簿をチェックされることが多いです。
そこに拒否権付株式の記載があれば「おや?」と目を引く可能性が高く、この会社には何かあるのか、と妙に勘繰られるかもしれません。
一方、非公開会社の株主ごとに差異をつける定めは、定款で定めるだけで登記は不要です。
わざわざ登記せずに済むならその方法が良い、という結論になりました。

と、ここまでは良かったのですが、実は私は知識としては知っていたものの、実際の条文は見たことがありませんでした。条文は手探りでこんな感じかな、と作りました。
会社設立のためには、登記前に、定款を公証人の先生に認証してもらわなければならないのですが、公証人の先生も初めて見るとのことで、定款をチェックしてもらっている最中に電話がかかってきました。
「これ、会社法109条2項の株主ごとの異なる定めですよね。これまでもこの条文の書き方でやってきたんですか?」
「いや、今回が初めてで…。おかしいですか?」
「いや、私も初めてなので。」
「……」
「……。ちょっと確認しますのでしばらくお時間もらいますね。」
「えー、明日お客様に押印もらうんですけど。間に合いますよね?」
「うーん。どうでしょうかねー。すぐ回答来れば良いんですが。」
ひやひやしましたが、何とかその日のうちに回答が来たようで「このままでOKです。」とのお言葉をいただき無事認証できました。
ちょっと珍しい(かもしれない)株主の不平等な取り扱いのお話でした。

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