遺言書と登記手続

昨日の続きです。

お客様から遺言書を見せていただくと、「妹に『遺贈』する。遺言執行者は妹とする」と書いてありました。
遺言書によって登記する場合、原則として、相続人に対して「○○に『相続させる』」と書いてあれば登記原因は相続、「○○に『遺贈する』」と書いてあれば登記原因は遺贈となります。
どっちでも一緒じゃないかと思われるかもしれませんが、登記手続に焦点を当てるとこれが全然違うのです。
登記原因が相続になる場合、もらう相続人のみで登記申請をすることができます。
しかし遺贈の場合は、遺言によってもらう人と遺言執行者との共同申請になるのです。

今回のケースでは、遺言執行者はもう亡くなっています。
遺言執行者がいないケースでは、遺言執行者の代わりに、①もらう人以外の相続人全員、②裁判所に選任してもらった別の遺言執行者、のどちらかを申請人にしなければいけません。

聞くと、今回の相続人(つまり亡くなった人の兄弟姉妹)はかなりの数に上り、中には印鑑をもらうのが難しい人もいるとのことで、相続人全員を申請人にするのは断念しました。
そこで、他の親族の方1人に遺言執行者になってほしいとお願いをし、裁判所にその方を執行者に選任してもらった上で登記申請することにしました。

登記申請は、まず亡くなった妹さんに名義を変え、その後妹さんの子である依頼者名義にします。
(ちなみに、登記は死亡者名義にすることも可能です。特に必要がない限りあまりやることはありませんが、今回のようなケースではいったん亡き妹名義にしなければいけません。)
法務局も珍しいケースだったのか、申請後通常1週間以内には完了することがほとんどなのですが、今回は10日以上かかりました。

とりあえず無事に終わりましたが、相談に来ていただいてから二月以上が経過していました。
遺言執行者である妹さんがご存命の内に手続をすませておけば、もしくは遺言に「相続させる」と書いてあれば、もっと簡単に早く手続を進められましたが、今の段階となってはこの方法が一番早かったと思います。
遺言書の書き方は吟味しないと、後から想定外の面倒な手続が発生することもあります。ご注意ください。
そして、前にも書いたことがありますが、相続の手続は「出来るときに、早めに」がお勧めです。

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