相続放棄のその後

昨日の続きです。

Aの相続の場合は、子供は放棄した後、Aの親に「放棄した」と伝えて相続財産を引き渡せば良く、親もAの兄弟に同じようにすれば良いです。
しかし、Aの兄弟が放棄すると、次の相続人がいない状態になってしまいます。

民法では相続人がいなくなった(正確には相続人が明らかでない)相続財産は法人となるとされ、最終的に国庫に帰属します。
具体的に言うと、裁判所が「相続財産管理人」を選任し、その管理人が法人となった財産を管理しますので、Aの兄弟は管理人に相続財産を引き渡せば良いのです。
相続財産管理人の選任は、利害関係人(この場合は最後の相続人であるAの兄弟)が申立をすることができるのですが、問題は費用です。
相続財産管理人の報酬部分を「申立人が」裁判所への予納金という形で負担しなければなりません。
預貯金等がある程度あって相続財産で賄えるという見込みが高い場合は、予納金も少なくて済むこともありますが、その可能性が低いもしくは不明な場合は、管理内容に応じて申立人は数十万円以上の負担を余儀なくされます。

結局、Aの相続の場合、直接の相続人ではなかった兄弟が、最後の相続人になったという理由だけで、相続放棄して何も手に入れられないのにも関わらず高額な相続財産管理人の申立費用(予納金)の負担をしなければいけないということになります。
申立しなければ、管理義務だけ負わされます。

…正直、私は結構災難な話だと思います。
相続放棄って「放棄したから解放されたー!」という簡単なものでもないことがあるのです。
特別縁故者として裁判所に認められれば、相続放棄していても財産を受け取ることができますが、認められるかどうかは相続財産管理人を選任してもらう段階ではわかりません。
理不尽だとは思いますが、これが今の日本の法律ですから仕方がないと言えば仕方がないです。
今は実務上できない不動産の所有権放棄も検討されているということですし、立法で解決策を待つしかないのが現状かなと思います。
私は最終的に全員相続放棄を検討しているケースでは、ご相談の時に相続財産管理人についての説明をするようにしていますが、預貯金が少ないことが多いのでこちらが心苦しくなってしまうのが正直なところです。

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