仲介なしの不動産売買
今日は不動産の個人間での売買のお話です。
たまたま先週そういったご相談をいただきましたので、ちょっと過去の記事をもとに書きたいと思います。
通常、不動産の売買と言いますと不動産屋さんが仲介に入って行うことがほとんどです。
売主、買主の希望や条件のすり合わせ、契約の締結、代金の決済の段取りは仲介している不動産業者が行い、私たち司法書士は代金決済の場で初めて当事者の方と会い、本人確認や登記書類の預かりを行うことが多いです。
しかし、たまに不動産業者に仲介をお願いせず、個人の方同士が直接不動産を売買したいというご相談をいただくことがあります。
その理由は、親族間売買であるとか、会社とその代表者での売買である(今回はこれでした)とか、ご近所同士の売買であるとか様々です
基本的にはお互いを見知っている場合がほとんどです。(そうでないと不動産を売りたい・買いたいという情報を互いに得られませんよね)
不動産業者がいない場合、当事者の意見のすり合わせ等から全て直接自分たちでやらなければなりません。
前にいただいたご依頼のときは売買契約書作成から始まったのですが、作っていると様々な問題が出てきます。
・代金決済はいつにするか
・固定資産税や賃料収入はどのように分けるか
・隣地との境界は明確か
・土地や建物に不具合が出た場合は、売主はどこまで補償するか
等々、他人同士が不動産を売買しようとすると決定事項は多岐にわたります。
高額のお金が動くことですから適当にすればいいやという訳にはいきません。
基本的にほとんどの条件や希望は、当事者間で自由に決めることができますが、不動産の売買に慣れていない方が当事者ということもあり、「普通はどうなっているのか?」と聞かれることが多かったです。
とは言え、私も不動産業者ではありませんから「普通」という基準が難しく、業者用の資料や不動産売買関連の本を手繰りながら、時に知り合いの業者に直接聞きながら、と都度調べてのお話となりました。
実際の案件を担当すると、それぞれの事情があるため雛形どおりの契約という訳にはいかず、取りまとめる不動産屋さんの世界を垣間見ることができたように思います。
個人的には、物件の状況や相手方をよく知らないケースでは、費用が掛かっても不動産屋さんを介した方がリスク回避になるように思います。
相手方に言いにくい条件を付けたい場合に直接交渉せずに済みますし、ひととおりの物件の調査をお願いすることもできます。また、物件の査定をしてもらって参考価格を教えてもらうことができるのも大きいと思います。
業者に仲介してもらうか否かは、最終的にかかる費用とお互いの信頼度や物件に関する情報量を天秤にかけて考えることになろうかと思います。
なんにせよ、司法書士としてはトラブルのない平和な取引になることを願うばかりです。