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相続の必要書類

毎日暑い日が続きますね。

猛暑を超えて酷暑という言葉がぴったりです。

相続登記に必要になるものとは

今回は相続に必要な書類について書きたいと思います。
先日国会で、近い将来から不動産については相続登記が義務化されることが決まりました。
今まで相続登記は義務ではなかったので放置している人も少なからずいました。
施行後(2024年予定)は登記を3年以上放置すると過料が課される可能性がありますので、早めに対処する必要があります。

相続登記に必要な書類は原則以下のとおりです。
①被相続人(亡くなった方)の出生から死亡までの一連の戸籍謄本や除籍謄本類
②相続人の戸籍謄本
③遺産分割協議をするなら印鑑証明書
④不動産を取得する相続人の住民票

これだけ見るとそれほど難しくなさそうです。
しかし上記は「原則」というのが注意点です。
例えば相続人中に手続前に死亡してしまった人がいれば、上記に加えて死亡した相続人の出生から死亡までの戸籍謄本等が、兄弟が相続人になる場合は両親の出生から死亡までの戸籍謄本が別途必要です。
以下、私が実際を依頼をいただいた具体例を載せます。

具体例1

父Aが死亡
母Bがその後死亡
ABの子C・D・EのうちCがその後死亡してCの妻Fとその子Gがおり、Gが不動産を相続。
この場合のAの相続手続に必要な書類は以下のとおりです。
①A・B・Cの出生から死亡までの一連の戸籍謄本・除籍謄本類
②D・E・F・Gの戸籍謄本
③D・E・F・Gの印鑑証明書
④Gの住民票
A→B→Cの順で亡くなっているので、Aの相続権を受け継いだBの相続人とA・Bの相続権を受け継いだCの相続人も特定する必要があります。

具体例2

夫Aが死亡し、妻Bのみが相続人。
Aにはすでに他界している実母C、養父母D・Eがいた。
この場合のAの相続手続に必要な書類は以下のとおりです。
①A・C・D・Eの出生から死亡までの一連の戸籍謄本・除籍謄本類
②Bの戸籍謄本
③Bの住民票
Bのみが相続人となり、遺産分割協議が不要なため印鑑証明書は不要です。
Bのみが相続人になること(Aの子・親・兄弟姉妹がAの死亡時いないこと)を証明するために①の書類をすべてそろえる必要があります。
なお、養子縁組をしていても原則実親との親子の関係は続きますので、Aの親はC・D・Eの3人です。

具体例3

父Aが死亡し、その後子Bが配偶者と子のないまま死亡。
Aの両親C・Dはすでに他界し、Aの配偶者Eと兄弟F・Gが相続人となり、Eが不動産を相続。
この場合のAの相続手続に必要な書類は以下のとおりです。
①A・B・C・Dの出生から死亡までの一連の戸籍謄本・除籍謄本類
②E・F・Gの戸籍謄本
③E・F・Gの印鑑証明書
④Eの住民票
Aの相続権を受け継いだBの相続人がいないことを証明するためにBの出生から死亡までの戸籍謄本類が必要です。
また、Aの兄弟を特定するためにC・Dの出生から死亡までの戸籍謄本類が必要です。

必要書類はケースによって違う

また、上記までのものとは別に、被相続人の登記簿上住所と本籍が一致しない場合は、被相続人の除住民票や(除)附票、ケースによっては不在籍・不在住証明というものも必要になることがあります。

お分かりのとおりケースにより様々な書類が必要になりますが、戸籍謄本・除籍謄本・原戸籍謄本は、今のところその該当本籍地の役所でしか請求できません。
そのため、本籍を転々と変更している人などは出生から死亡までの一連のものを集めるだけで一苦労です。
地元の役所ですべて一気に揃えられて簡単に集められる場合もあれば、順番に郵送を繰り返して集め終わるのに2か月近くかかる場合もあります。
(具体例2のケースは東京・岩手・北海道・山形・長野等々、1月半かかりました)

ちなみに、義務化されることになる相続の登記は、施行日より前に登記名義人が亡くなった場合ものも含まれます。
これからは今までにように「まあ急がなくても…」というわけにはいかなくなりますので、特に既に相続が発生している場合は、早めに手続されることをお勧めします。